
経営管理ビザの更新申請では、申請人が日本で事業を継続して行っているか、今後も事業を継続できる見込みがあるかが重要になります。
そのため、会社が赤字決算である場合や、貸借対照表上で債務超過となっている場合には、通常の更新申請よりも慎重な説明が必要です。
特に債務超過の場合、よく問題になるのが、
「いつまでに債務超過を解消すべきなのか」
「1年以内に解消できないと更新は難しいのか」
「どのような資料で改善見通しを説明すればよいのか」
「中小企業診断士の評価書は必要なのか」
という点です。
結論からいえば、経営管理ビザ更新において債務超過がある場合、1年以内に債務超過の状態でなくなる見通しを示せるかどうかが重要なポイントになります。
ただし、実際の判断は、単に「1年以内」という期間だけで決まるものではありません。
債務超過に至った原因、現在の改善状況、今後の売上・利益計画、資金繰り、借入金返済、事業実態などを総合的に説明することが必要です。
当事務所では、中小企業診断士・行政書士として、経営管理ビザ更新における赤字・債務超過案件について、改善の見通しに関する評価書、経営改善計画書、予想財務諸表の作成に対応しています。
行政書士等の他士業の先生からの、評価書部分のみのご依頼にも対応可能です。
経営管理ビザ更新で債務超過が問題になる理由
経営管理ビザは、日本で事業の経営または管理に従事する外国人経営者のための在留資格です。
更新申請では、これまで事業を実際に行ってきたか、今後も安定的・継続的に事業を行えるかが確認されます。
そのため、決算書上で債務超過となっている場合には、入管側から見て、
・会社の信用力が低下していないか
・事業を継続できる資金力があるか
・借入金返済に無理はないか
・今後の売上や利益の見通しはあるか
・経営改善策は具体的か
・申請人本人が実質的に経営を行っているか
といった点が問題になりやすくなります。
債務超過とは、会社の資産よりも負債が多く、純資産がマイナスになっている状態です。
貸借対照表上、純資産の部がマイナスになっている場合、会社は債務超過の状態にあります。
債務超過は、単年度の赤字よりも重く見られやすい財務上の問題です。
赤字は一定期間の損益がマイナスである状態ですが、債務超過は過去の赤字や借入金の増加などが蓄積し、財務基盤そのものが弱くなっている状態だからです。
赤字決算と債務超過は違う
経営管理ビザ更新の相談では、「赤字」と「債務超過」が混同されていることがあります。
しかし、この2つは意味が異なります。
赤字決算
赤字決算とは、損益計算書上、一定期間の利益がマイナスになっている状態です。
たとえば、売上よりも費用が多く、当期純損失が出ている場合です。
開業初年度の初期費用、広告宣伝費、設備投資、人件費の先行負担などにより、一時的に赤字となることは珍しくありません。
赤字であっても、その原因が合理的であり、今後の黒字化が見込める場合には、事業継続性を説明できる余地があります。
債務超過
債務超過とは、貸借対照表上、資産よりも負債が多い状態です。
たとえば、資産が1,000万円、負債が1,500万円であれば、純資産はマイナス500万円となり、債務超過です。
債務超過は、単年度の赤字よりも、事業継続性の説明上は重い論点になります。
そのため、経営管理ビザ更新では、単に「赤字か黒字か」だけでなく、貸借対照表上の純資産がどうなっているかを確認する必要があります。
債務超過でも直ちに更新不可とは限らない
債務超過であるからといって、必ず経営管理ビザの更新が不許可になるとは限りません。
事業にはさまざまな事情があります。
たとえば、
・開業直後で初期投資が先行した
・設備投資や広告宣伝費を大きく使った
・コロナ禍や外部環境の変化で売上が一時的に落ちた
・新規事業立ち上げに時間がかかった
・一時的な特別損失が発生した
・直近では売上や利益が改善している
といったケースもあります。
重要なのは、債務超過という結果だけではなく、なぜ債務超過になったのか、今後どのように改善するのか、事業を継続できる合理的な見通しがあるのかを説明することです。
その説明において、1年以内に債務超過の状態でなくなる見通しを示せるかどうかが、大きなポイントになります。
「1年以内に債務超過でなくなる見通し」が重要
法務省・出入国在留管理庁の説明では、直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合について、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善、すなわち債務超過の状態でなくなる見通しがあることを前提として事業の継続性を認める取扱いが示されています。
また、このような場合には、中小企業診断士や公認会計士等の、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しについて評価した書面の提出が求められる場合があります。
つまり、経営管理ビザ更新で債務超過がある場合には、
・債務超過がいつから続いているのか
・直近期だけの債務超過なのか
・複数期連続の債務超過なのか
・1年以内に債務超過を解消できる見通しがあるのか
・その見通しに客観的な根拠があるのか
を確認する必要があります。
「いつまでに解消すべきか」という問いに対しては、原則として、1年以内に債務超過の状態でなくなる見通しを示せるかどうかが重要な目安になります。
1年以内に解消できる見込みがある場合
1年以内に債務超過を解消できる見込みがある場合でも、単に「黒字化します」と書くだけでは不十分です。
次のような根拠を整理する必要があります。
・直近の試算表で黒字化している
・新規契約や受注見込みがある
・既存取引先からの継続的な売上が見込める
・不採算取引を見直している
・固定費を削減している
・役員報酬や人件費を見直している
・借入金返済に無理がない
・代表者借入金や増資等により財務改善が見込める
・資金繰りに問題がない
・具体的な改善計画がある
特に重要なのは、売上計画と利益計画の根拠です。
売上が急に増える計画を作る場合には、契約書、見積書、受注見込み、顧客数、販売単価、販売数量などの根拠が必要です。
また、利益が出る計画であっても、借入返済や運転資金を考慮すると資金繰りが厳しい場合があります。
そのため、予想損益計算書だけでなく、予想貸借対照表や予想キャッシュフロー計算書も含めて検討することが重要です。
1年以内に解消できない場合
1年以内に債務超過を解消できない場合には、更新申請上の説明はより慎重になります。
特に、直近期末と直近期前期末の両方で債務超過となっている場合には、債務超過が継続している状態です。
この場合、単に「今後改善予定です」と説明するだけでは、事業継続性を認めてもらうことが難しくなる可能性があります。
ただし、会社の状況によっては、次のような事情を丁寧に説明する必要があります。
・債務超過額が縮小している
・営業利益が黒字化している
・売上総利益が安定している
・一時的な要因による債務超過である
・資金繰りは安定している
・役員借入金が実質的な資本性を持っている
・増資や資金調達の予定がある
・事業の成長性や受注見込みがある
・代表者や関係者からの継続的な資金支援がある
もっとも、このような事情があっても、客観的な資料や数字の裏付けがなければ説得力は弱くなります。
1年以内に債務超過を解消できない場合ほど、財務分析、改善計画、資金繰り、事業実態を丁寧に整理する必要があります。
改善見通しを説明するために必要な資料
経営管理ビザ更新で債務超過を説明する場合には、一般的に次のような資料を確認します。
・直近3期分の決算書
・貸借対照表
・損益計算書
・販売費及び一般管理費の内訳
・株主資本等変動計算書
・法人税申告書別表
・勘定科目内訳明細書
・直近の試算表
・借入金返済予定表
・主要取引先との契約書
・売上見込みが分かる資料
・請求書、入金資料
・資金繰り表
・事業所、人員体制が分かる資料
・申請人本人の経営活動を示す資料
これらの資料をもとに、過去の財務状況と今後の改善見通しを整理します。
特に、直近の試算表は重要です。
決算書上は債務超過であっても、その後の数か月で黒字化している場合や、売上が回復している場合には、改善見通しを説明する材料になります。
予想PL・予想BS・予想CFで説明すべきこと
債務超過の改善見通しを説明するには、文章だけでなく、将来の数値計画が重要です。
特に、次の3つの予想財務諸表を作成することで、説明の説得力が高まります。
予想損益計算書
予想損益計算書では、今後の売上、原価、経費、利益の見通しを整理します。
債務超過を解消するためには、基本的には利益を積み上げて純資産を回復させる必要があります。
そのため、いつから黒字化するのか、どの程度の利益が見込めるのかを明確にします。
予想貸借対照表
予想貸借対照表では、今後の資産、負債、純資産の推移を整理します。
債務超過の解消見込みを説明するうえでは、この予想貸借対照表が特に重要です。
損益計画で利益が出ていても、純資産がいつプラスに転じるのかを示せなければ、「債務超過の状態でなくなる見通し」は説明しにくくなります。
予想キャッシュフロー計算書
予想キャッシュフロー計算書では、資金の出入りを整理します。
利益が出ていても、借入金返済や設備投資、運転資金の負担によって資金繰りが悪化することがあります。
事業を継続できるかどうかを説明するには、利益だけでなく、資金繰りが回るかどうかも確認する必要があります。
中小企業診断士の評価書で整理する内容
中小企業診断士による評価書では、単に「改善の見込みがある」と書くのではなく、評価の根拠となる理由を整理する必要があります。
当事務所で作成する評価書では、案件の状況に応じて、主に次のような内容を整理します。
・会社概要
・事業内容
・申請人の経営関与状況
・過去3期程度の財務分析
・売上、利益、純資産の推移
・債務超過に至った原因
・現在の改善状況
・今後の売上計画
・今後の利益計画
・借入金返済の見通し
・資金繰りの見通し
・債務超過の解消見込み
・予想損益計算書
・予想貸借対照表
・予想キャッシュフロー計算書
・事業継続性に関する評価
重要なのは、数字と文章が整合していることです。
たとえば、文章では「1年以内に債務超過を解消できる」と書いているのに、予想貸借対照表では純資産がマイナスのままであれば、資料として矛盾してしまいます。
また、利益計画では黒字でも、キャッシュフローがマイナスになっている場合には、資金繰りの説明が必要です。
行政書士・他士業の先生からの部分依頼にも対応
経営管理ビザ更新の申請全体は、行政書士の先生が担当されるケースが多いと思います。
一方で、赤字・債務超過案件では、財務分析や将来財務計画の作成が必要になるため、行政書士の先生だけで対応するには負担が大きい場合があります。
当事務所では、行政書士・税理士等の他士業の先生からの、評価書・経営診断書部分のみのご依頼にも対応しています。
たとえば、次のような連携が可能です。
・行政書士の先生が経営管理ビザ更新申請全体を担当
・当事務所が中小企業診断士として評価書部分のみ作成
・必要資料は先生経由で共有
・ヒアリングは先生同席または先生経由で実施
・納品物は先生へ提出
・申請書類への組み込みは先生が対応
他士業の先生からのご依頼の場合、原則として申請者様との直接連絡は必要最小限とし、先生方の業務領域や顧客関係を尊重して対応いたします。
当事務所の対応業務
当事務所では、中小企業診断士・行政書士として、経営管理ビザ更新における赤字・債務超過案件について、次の業務に対応しています。
・改善の見通しに関する評価書
・経営診断書
・経営改善計画書
・過去3期分の財務分析
・予想損益計算書
・予想貸借対照表
・予想キャッシュフロー計算書
・追加資料対応用の説明資料
・行政書士等の他士業からの部分依頼
経営管理ビザ更新における債務超過案件では、在留資格申請の知識だけでなく、財務分析と経営改善計画の視点が重要になります。
行政書士としての入管実務の視点と、中小企業診断士としての財務・経営分析の視点を組み合わせて、事業継続性を説明する資料作成を支援します。
料金の目安
経営管理ビザ更新における赤字・欠損金・債務超過案件の評価書・経営診断書作成は、原則として以下の料金で対応しています。
通常対応:100,000円(税別)〜
特急対応:130,000円(税別)〜
特急対応は、資料の準備状況や当事務所の稼働状況により、お受けできない場合があります。
また、会社の財務状況、必要な分析範囲、追加資料対応の有無、予想財務諸表の作成範囲によって、個別にお見積りとなる場合があります。
早めに相談した方がよいケース
次のような場合には、早めにご相談ください。
・経営管理ビザの更新期限が近い
・決算書を見たら債務超過だった
・直近期だけ債務超過になった
・複数期連続で債務超過が続いている
・赤字が複数期続いている
・1年以内に債務超過を解消できるか分からない
・入管から追加資料を求められている
・中小企業診断士等の評価書が必要と言われた
・行政書士として申請は対応しているが、財務分析が専門外である
債務超過案件では、決算書や試算表、借入金資料、売上見込み資料などを確認したうえで、改善見通しを整理する必要があります。
更新期限や追加資料提出期限が迫っている場合には、十分な資料作成時間を確保できないことがあります。
早めに相談することで、より丁寧な分析と資料作成が可能になります。
まとめ
経営管理ビザ更新で債務超過になった場合、直ちに更新不可と決まるわけではありません。
しかし、債務超過は事業継続性の判断に大きく影響するため、原因分析、改善策、今後の収支計画、資金繰り、債務超過の解消見込みを具体的に説明する必要があります。
特に、直近期末に債務超過で直近期前期末では債務超過でない場合には、1年以内に債務超過の状態でなくなる見通しを示せるかどうかが重要なポイントになります。
その見通しを説明するためには、予想損益計算書だけでなく、予想貸借対照表や予想キャッシュフロー計算書を含めた整合的な資料作成が重要です。
当事務所では、中小企業診断士・行政書士として、経営管理ビザ更新における赤字・債務超過案件の評価書・経営診断書・経営改善計画書の作成に対応しています。
行政書士等の他士業の先生からの、評価書部分のみのご依頼にも対応可能です。
経営管理ビザ更新で債務超過となっている場合には、お気軽にご相談ください。
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