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経営管理ビザ更新で決算書のどこを見られる?中小企業診断士が財務面を解説

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経営管理ビザの更新を控えている経営者の方から、

「決算書のどこを確認しておけばよいですか?」

「黒字なら特に問題ありませんか?」

「売上はあるのですが、債務超過になっています」

といったご相談を受けることがあります。

経営管理ビザの更新では、会社が今後も事業を継続し、申請人が引き続き経営・管理活動を行うことができるかという観点から、会社の経営状況も重要になります。

出入国在留管理庁が公表している「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」では、事業の継続性について、単年度の決算だけではなく、直近2期の決算状況をもとに判断する考え方が示されています。

特に、

  • 売上総利益
  • 欠損金
  • 債務超過

などは、公表資料上も具体的に示されている重要な項目です。

詳しくは、出入国在留管理庁の外国人経営者の在留資格基準の明確化についてをご確認ください。

一方、実際に会社の事業継続性を確認する場合には、それだけでなく、売上高、営業利益、現預金、借入金、役員との資金のやり取りなども確認しておきたいところです。

本記事では、経営管理ビザの更新前に決算書のどこを確認すべきかについて、入管が公表している判断の考え方と、中小企業診断士としての財務分析の視点を分けながら解説します。


経営管理ビザ更新では「黒字・赤字」だけで判断されない

最初に押さえておきたいのは、

「黒字なら問題なし、赤字なら更新できない」

という単純な判断ではないということです。

企業活動では、

  • 開業時の先行投資
  • 店舗開設
  • 設備投資
  • 人材採用
  • 広告宣伝
  • 新規事業への投資

などによって、一時的に赤字になることがあります。

そのため出入国在留管理庁も、事業の継続性について、単年度の決算状況だけを重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断する考え方を示しています。

特に重要なのが、直近2期の決算状況です。

したがって、更新前には直近の決算書だけを見るのではなく、できれば前期と比較して、

「会社の状態が良くなっているのか」

「悪化しているのか」

を確認することが重要です。


入管の公表資料で特に重要な3つのポイント

1.売上総利益があるか

まず重要なのが売上総利益です。

売上総利益とは、一般に、

売上高-売上原価

によって計算される利益で、いわゆる「粗利益」です。

出入国在留管理庁の公表資料では、事業継続性の判断において、直近期または直近期前期に売上総利益がある場合と、直近2期とも売上総利益がない場合を区別しています。

これは非常に重要です。

たとえば会社の最終的な当期純利益が黒字でも、

  • 資産売却益
  • 保険金
  • その他の営業外収益
  • 特別利益

などによって黒字になっているだけで、本業から売上総利益が生まれていない場合があります。

つまり、

「最終利益が黒字か」だけでなく、「本来の事業活動によって利益が生まれているか」

を見る必要があります。

経営管理ビザ更新で黒字の場合の注意点については、経営管理ビザ更新で黒字なら安心?赤字ではなくても注意したい財務・事業実態のポイントでも詳しく解説しています。


2.欠損金があるか

次に確認したいのが欠損金です。

会社が過去に赤字を出していると、その赤字が利益剰余金に蓄積されることがあります。

たとえば、

1期目 ▲500万円
2期目 ▲300万円
3期目 +200万円

だった場合、3期目だけを見れば黒字ですが、過去の赤字がすべて解消されているとは限りません。

つまり、

「今期が黒字であること」と、「過去の赤字が解消されていること」は別問題

です。

そのため、損益計算書の当期純利益だけでなく、貸借対照表の純資産の部も確認する必要があります。


3.債務超過になっていないか

経営管理ビザの更新で財務面から特に注意したいのが、債務超過です。

債務超過とは、会社の資産より負債の方が大きくなり、純資産がマイナスになっている状態です。

貸借対照表の

「純資産合計」

を確認すると、おおよその状態を把握できます。

たとえば、

資産 1,500万円
負債 2,000万円

であれば、

純資産 ▲500万円

となり、債務超過です。

出入国在留管理庁は、債務超過の状態や継続期間などに応じて、中小企業診断士、公認会計士等による改善の見通しを評価した書面を求める考え方を示しています。

債務超過への具体的な対応については、経営管理ビザ更新で債務超過・赤字の場合の「経営改善計画書」の書き方もあわせてご覧ください。

また、当事務所では債務超過・財務問題でお困りの方へ(ビザ・許認可更新)として、改善見通し評価書の作成にも対応しています。


損益計算書で確認したいポイント

ここからは、出入国在留管理庁が公表している判断基準そのものだけではなく、中小企業診断士として会社の事業継続性を確認する際に見るポイントも含めて解説します。

売上高

まず確認するのが売上高です。

重要なのは、単純な金額だけではありません。

前期と比較して、

  • 増えているか
  • 横ばいか
  • 減っているか

を確認します。

売上が減っている場合には、

なぜ減ったのか

まで確認します。

たとえば、

  • 開業が予定より遅れた
  • 主要取引先との取引が終了した
  • 店舗移転があった
  • 新規事業へ移行している
  • 営業活動が十分にできなかった

など、理由によって今後の見通しは異なります。

売上規模が小さい場合の考え方については、経営管理ビザ更新で売上が少ない場合はどうなる?更新申請で確認されるポイントでも詳しく解説しています。


売上総利益

先ほど説明したとおり、売上総利益は入管の事業継続性判断でも重要な項目です。

ここでは、

売上高に対して十分な粗利益が残っているか

も確認します。

たとえば、売上が大きく増えていても、仕入価格や外注費が増え、粗利益がほとんど残っていなければ、経営状態が改善しているとは限りません。

反対に、売上規模は小さくても、高い粗利益率を確保している事業もあります。

そのため、売上高だけではなく、

「どれだけ粗利益を生み出せる事業なのか」

を見ることが重要です。


営業利益

営業利益は、本業でどの程度利益を出せているかを見る数字です。

売上総利益から、

  • 人件費
  • 家賃
  • 広告宣伝費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • その他の販売費・一般管理費

などを差し引いたものです。

営業利益が赤字の場合には、

本業から得られる粗利益だけでは、会社の固定費等を賄えていない

可能性があります。

もちろん、創業初期や新規事業への先行投資によって一時的に営業赤字になることもあります。

その場合には、

「なぜ赤字になったのか」

「今後どの経費が減るのか」

「売上がどの程度増えれば黒字になるのか」

まで確認すると、今後の改善計画を作りやすくなります。


当期純利益

決算書を見るとき、多くの方が最初に確認するのが当期純利益です。

もちろん重要な数字ですが、当期純利益だけを見るのは不十分です。

黒字であっても、

  • 売上総利益が十分ではない
  • 営業利益は赤字
  • 特別利益によって最終黒字になった
  • 過去の欠損金が残っている
  • 債務超過になっている

というケースがあります。

逆に、当期純損失であっても、一時的な先行投資が原因で、事業自体は改善している場合もあります。

したがって、

当期純利益は「決算書を見る入口」であって、「結論」ではない

と考えた方がよいでしょう。


貸借対照表で確認したいポイント

純資産

経営管理ビザ更新の財務確認で、特に重要なのが純資産です。

貸借対照表の純資産合計が、

プラスなのか、マイナスなのか

を確認します。

マイナスであれば債務超過です。

さらに、前期と比較して、

  • 債務超過額が縮小している
  • 横ばいである
  • さらに悪化している

のかも重要です。

たとえば、

前期 ▲1,000万円
今期 ▲400万円

であれば、まだ債務超過ではあるものの、600万円改善しています。

一方、

前期 ▲300万円
今期 ▲1,000万円

であれば、債務超過が急速に拡大しています。

同じ「債務超過」でも、会社の方向性は大きく異なります。


利益剰余金

純資産を見るときには、利益剰余金も確認します。

過去の利益が蓄積されていればプラスになりますが、過去の赤字が積み上がっているとマイナスになります。

今期が黒字でも、利益剰余金が大きくマイナスであれば、過去の損失をまだ取り戻せていないことになります。

そのため、

「今期の利益」+「これまでの累積結果」

の両方を見る必要があります。


中小企業診断士として、さらに確認したい項目

ここからの項目は、出入国在留管理庁が個別の審査基準として一律に数値基準を示しているものではありません。

ただし、会社が今後も事業を継続できるかを財務分析するうえでは重要な項目です。


現預金

会社にどの程度の現金・預金が残っているかを確認します。

決算書上では黒字でも、

  • 設備投資
  • 在庫購入
  • 借入返済
  • 売掛金増加

などによって、手元資金が少なくなっている場合があります。

経営管理ビザ更新について「預金が○万円必要」という一律の基準が公表されているわけではありません。

しかし、

  • 給与
  • 家賃
  • 仕入
  • 社会保険料
  • 税金

を今後支払っていけるのかという観点では、現預金の確認は重要です。


売掛金

売掛金が増えている場合には、

「売上は計上されているが、まだ現金を回収できていない」

可能性があります。

特に売掛金が急増している場合には、

  • 入金サイトが長くなっていないか
  • 回収が遅れている取引先がないか
  • 不良債権化していないか

なども確認します。

利益が出ているのに現金がない会社では、このような売上と入金の時間差が原因となっていることがあります。


在庫

小売業、貿易業、EC事業などでは、在庫にも注意します。

在庫が増えれば貸借対照表上は資産になりますが、商品が売れなければ現金にはなりません。

そのため、

  • 在庫が前年より大きく増えていないか
  • 長期間売れていない在庫がないか
  • 売上規模に対して在庫が過大ではないか

を確認します。

特に中古品販売や輸出入事業などでは、在庫回転と資金繰りをあわせて確認することが重要です。


借入金

借入金があること自体が問題というわけではありません。

事業拡大や設備投資のために金融機関から借入を行うことは、通常の企業経営でもあります。

重要なのは、

  • 借入目的
  • 借入残高
  • 毎月の返済額
  • 今後の返済可能性

です。

利益が出ていても、借入金返済が大きければ手元資金が減ることがあります。

損益計算と資金繰りを分けて考える必要があります。


役員借入金

中小企業では、会社の資金が不足した際に、代表者本人が会社へ資金を貸し付けているケースがあります。

これは貸借対照表上、

役員借入金

などとして計上されます。

役員借入金があること自体をもって問題というわけではありません。

ただし、金額が大きい場合には、

  • なぜ必要になったのか
  • 会社自身の資金繰りはどうなっているのか
  • 今後返済するのか
  • 当面返済を求めないのか

などを確認します。

特に債務超過企業では、代表者からの資金支援によって事業を継続しているケースもあります。

その場合には、今後の資金計画まで確認しておくことが重要です。


役員貸付金

反対に注意したいのが、会社から役員へ資金を貸している役員貸付金です。

金額が大きい場合には、

「会社の資金が事業外へ流出していないか」

という観点から、経営管理上も確認が必要です。

特に会社の資金繰りが厳しいにもかかわらず、多額の役員貸付金がある場合には、

  • 発生理由
  • 返済予定
  • 今後の対応

を整理しておいた方がよいでしょう。


決算書は「2期比較」で見る

経営管理ビザ更新前に決算書を確認する場合、私は1期分だけではなく、原則として2期分以上を並べて見ることをおすすめしています。

出入国在留管理庁の事業継続性に関する考え方でも、直近2期の決算状況が基準とされています。

たとえば、

項目前期今期
売上高1,500万円2,000万円
売上総利益600万円900万円
営業利益▲200万円100万円
当期純利益▲250万円80万円
純資産▲500万円▲420万円

という会社であれば、

「まだ債務超過ではあるものの、売上・粗利益・営業利益が改善し、債務超過額も縮小している」

という流れを見ることができます。

決算書は、現在地点だけではなく、改善・悪化の方向を見ることが重要です。


決算後の状況が改善しているなら、試算表も確認する

更新申請時点では、最後の決算から数か月が経過していることもあります。

たとえば、

  • 前期決算は赤字だった
  • その後大口取引が始まった
  • 新店舗の売上が増えている
  • 不採算事業から撤退した
  • 経費削減によって利益が改善した

という場合です。

この場合、前期決算書だけでは現在の会社の状態を十分に説明できません。

そこで、

  • 最新の試算表
  • 月次売上
  • 契約書
  • 受注資料
  • 今後の売上計画

などを確認します。

特に赤字・債務超過企業では、

「決算時点では問題があったが、その後どう改善しているか」

を示すことが重要になります。


事業内容が変わっている場合は決算書と事業実態を結びつける

決算書の数字だけでは、会社で何が起きたのか分からないことがあります。

たとえば売上が減っていても、

  • 不採算事業から撤退した
  • 新規事業への転換期だった
  • 店舗移転があった
  • 新店舗の開業準備期間だった

という事情があるかもしれません。

反対に売上が増えていても、前回申請時とは全く異なる事業が中心になっていることもあります。

そのため財務分析では、

「数字」と「実際の事業」を結びつけて考えること

が重要です。

事業内容を変更している場合の更新については、経営管理ビザ更新で事業内容が変わった場合の注意点|新規事業・業種変更をどう説明するかをご覧ください。


2025年10月の新基準との関係

2025年10月16日から、在留資格「経営・管理」の基準が改正されています。

既存在留者については、2028年10月16日まで経過措置が設けられています。

出入国在留管理庁は、この期間中について、新基準を満たしていないことだけをもって更新不許可にはならず、経営状況や今後新基準を満たす見込みなどを踏まえて判断するとしています。

詳細は、出入国在留管理庁の在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正についてをご確認ください。

つまり今後の更新では、

決算書は「赤字か黒字か」を見るだけの資料ではありません。

現在の経営状態や、今後新基準へ対応していける会社なのかを検討する材料としても重要になります。

資本金等3,000万円の基準と既存在留者の更新については、経営管理ビザ更新は資本金3,000万円未満だと不許可になる?既存在留者の更新ポイントを解説でも解説しています。


更新前に確認したい決算書チェックリスト

経営管理ビザ更新前には、最低限次の項目を確認してみてください。

損益計算書

  • 売上高は前年より増えているか
  • 売上総利益があるか
  • 売上総利益率は極端に悪化していないか
  • 営業利益は黒字か
  • 当期純利益は黒字か
  • 赤字の場合、その原因を説明できるか

貸借対照表

  • 純資産はプラスか
  • 債務超過になっていないか
  • 利益剰余金はどうなっているか
  • 現預金は十分か
  • 売掛金が急増していないか
  • 在庫が過大になっていないか
  • 借入金の返済に問題はないか
  • 役員借入金が大きく増えていないか
  • 役員貸付金が多額になっていないか

決算後

  • 最新の試算表では改善しているか
  • 月次売上は増えているか
  • 新しい契約・受注があるか
  • 今後1~3年の改善計画を説明できるか

中小企業診断士・行政書士に依頼するメリット

経営管理ビザ更新で財務面に不安がある場合、

「決算書を提出すればよい」

というだけでは不十分なケースがあります。

重要なのは、

決算書の数字が何を意味しているのかを理解し、必要に応じて今後の改善計画として説明できること

です。

中小企業診断士は、

  • 財務分析
  • 事業分析
  • 経営改善
  • 売上計画
  • 収支計画
  • 資金計画

を扱う経営の専門家です。

行政書士は、在留資格をはじめとする行政手続の専門家です。

当事務所では、この双方の視点から、

「入管上、何を説明する必要があるか」と「会社経営上、どの数字を改善する必要があるか」

を整理することができます。


当事務所で対応できること

当事務所では、経営管理ビザの更新に関して、

  • 更新前の決算書確認
  • 赤字・欠損金の確認
  • 債務超過の確認
  • 直近試算表の確認
  • 今後の事業計画・収支計画作成
  • 経営改善計画書の作成
  • 改善見通し評価書の作成
  • 入管から追加資料を求められた場合の財務資料整理

などに対応しています。

特に、

「決算書を見ても、更新上どこが問題なのか分からない」

「税理士から決算書を受け取ったが、財務状態をよく理解していない」

「赤字や債務超過だが、今後は改善する見込みがある」

といった場合には、早めにご相談ください。


ご依頼の流れ

1.お問い合わせ

在留期限と現在の経営状況についてお知らせください。

2.決算書等の確認

法人税確定申告書、決算書、必要に応じて最新の試算表等を確認します。

3.財務状況の分析

売上、利益、純資産、現預金、借入金等を確認し、財務上の課題を整理します。

4.必要な対応・お見積り

通常の更新資料で足りるのか、事業計画書、経営改善計画書、評価書等が必要かを確認します。

5.ヒアリング・書類作成

今後の売上見込み、改善策、資金計画等を確認し、必要な書類を作成します。

6.内容確認・修正

申請内容と財務資料の整合性を確認します。

7.納品・申請

完成した書類を納品し、ご依頼内容に応じて更新申請まで対応します。


料金の目安

経営管理ビザ更新に関連する主な料金目安は、以下のとおりです。

事業計画書作成:100,000円~(税別)

改善見通し評価書作成:100,000円~(税別)

経営管理ビザ更新サポート:150,000円~(税別)

財務状況や必要書類、追加資料対応の有無等によって業務範囲が異なるため、資料を確認したうえで正式なお見積りをご案内します。


まとめ|決算書は「最終利益」だけを見ない

経営管理ビザの更新前に決算書を確認するとき、

「黒字だから大丈夫」
「赤字だから更新できない」

と判断するのは早すぎます。

出入国在留管理庁が公表している事業継続性の考え方では、

  • 直近2期
  • 売上総利益
  • 欠損金
  • 債務超過

などが重要なポイントとなっています。

さらに会社経営の観点からは、

  • 売上高
  • 営業利益
  • 現預金
  • 売掛金
  • 在庫
  • 借入金
  • 役員借入金・役員貸付金

なども確認しておくことで、会社の本当の状態が見えてきます。

決算書は単なる「提出書類」ではありません。

会社が今後も事業を継続できるのかを説明する重要な資料です。

更新期限が近づいてから初めて問題に気付くのではなく、できれば早い段階で直近2期の決算書を確認し、必要な改善策や説明資料を準備しておくことをおすすめします。


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